味醂ではない「みりん」とは…

現在、みりんと呼ばれるものは、本みりんだけではありません。 これは、米を材料にするみりんが、戦中・戦後の米不足の中、贅沢品として高額な酒税がかけられたことに起因しています。 この高い酒税から逃れるために登場したのが、雑穀を原料にした「新みりん(煮切りみりん)」と、塩水の中でアルコール発酵させた後に甘みを加えた「塩みりん」です。 2つのみりんは、酒税法外の製造・販売を開始。

昭和30年代にやっと、高級割烹料理店やうなぎ屋のみで利用されていた本みりんが家庭に普及し始めました。 しかし、酒販免許のないスーパーでは、酒類である本みりんを販売することができず、新みりん、塩みりんのみを取り扱いました。

昭和50年、公正取引委員会は、みりんの内容に伴わない商品として、本みりん以外の商品を「みりん風調味料」に統一します。しかし現在、本みりんとみりん風調味料の違いが分かりにくくなっています。 さらに近い将来、塩を添加した調味料の一部に「発酵みりん」という名称をつける協議が行われており、本当の「みりん」の味はさらに難解になってきそうです。

◇本格仕込み
三州三河みりん
有機三州味醂
/日本の伝統的な製法です。 上質なもち米を原料に使用し、和釜で蒸煮。 仕込み後のみりんもろみを長期糖化熟成します。 みりん本来の製法で、乙類焼酎(米焼酎)を用います。 醸造・熟成期間は2年がかりです。
◇一般的な本みりん /蒸したもち米と米麹にアルコールおよび水あめを加え、香味を調整して2~3か月で造ります。 アルコール分約14%。
◇みりん風調味料 /水あめやブドウ糖またはデンプン質の糖化液にグルタミンソーダを中心とする化学調味料やアミノ酸液香料等を混合して造ります。 塩水中でアルコール発酵させて造った調味原液に糖液などを加えて調整したもの(塩みりん)、米のかわりに雑穀で造った糖液にアミノ酸、酸味料を添加したもの(新みりん・煮切りみりん)などが出回っています。 アルコール分はほとんど含みません。