みりんの歴史
甘いお酒から調味料へ
さまざまな文献から歴史をひもといてみると、「みりん(味醂)」が日本に誕生したのは戦国時代。 日本に古くからある練酒、白酒などの「甘いお酒」の腐敗防止のために、 アルコールを加えていたのが改良されてみりんになったという日本発生説と、 中国から渡来した蜜がしたたるような甘い酒「密淋(ミイリン)」が起源という中国伝来説の2つがあります。
江戸時代になると、みりんは、女性でも楽しんで飲むことのできる甘口の高級なお酒として人々に受け入れられました。 しかし、当時のみりんは甘みが薄かったようです。 みりんの甘さは、米のでんぷん質を糖に変える麹によって造り出されますが、麹を作る技術が発達していなかったため、濃厚な甘みを実現できなかったのです。 お酒として庶民に浸透していたみりんは、やがて料理のコクやうま味を引き出す調味料として使われるようになります。 調味料として使われた歴史も古く(戦国時代、江戸時代という諸説あり)、当時は砂糖よりも入手しやすい甘味料として用いられました。 甘味料としての製法が確立したみりんは、さらに発展を遂げ、焼酎歩合の少ない「本みりん」と焼酎歩合の多い「本直し」とに分けられるようになりました。 そして、社会が安定してきた明治・大正時代には、全国的に滋養飲料や割烹調味料としてみりんの消費が増加。時代を経る毎に甘みや旨みの濃いものが求められるようになり、 大正末期から昭和初期にかけて、今日のような濃厚なみりんが造られるようになったのです。
●愛知県東部の三河地方は、醸造に適した水と温暖な気候に恵まれ、200余年の昔から、みりんの醸造が盛んに行われてきました。 現在でも、みりん業者数全国一を誇るみりん造りの本場です。 |
